話の内容
2020年4月18日、「和のこころ体験塾」にて「日本甲冑の歴史に学ぶ!」と題した講座を設けていただきました。
今回は、「基礎編」ということで、日本での甲冑の始まりから時代を経てどのような進化・変化をしてきたのかという歴史を中心に西洋甲冑との違いやそこから現代の私たちがどんなことを学べるのかについてお話しました。
甲冑の歴史(ざっくり編)
講座では各時代ごとに政治体制や活躍した人物、行われた戦やその戦闘様式なども交えて、お話させていただきました。ここでは、ざっくりと。
甲冑は日本で稲作・定住がはじまったころから利用され始めたといわれています。
定住化で集団生活をするようになり、各地で権力を持った集団(豪族)が現れ、土地などを奪い合う戦闘が始まりました。そのために「甲(よろい)冑(かぶと)」が必要となりました。
<ざっくり甲冑の歴史>
・古墳、弥生時代:単甲・衝角付き冑、挂甲・眉庇付き冑
・平安~鎌倉時代:大鎧、胴丸(胴丸鎧)、星兜
・南北朝~室町時代:胴丸、腹巻、腹当、筋兜
・安土桃山時代:当世具足
・江戸時代:復古調鎧、畳具足
ほんとうにざっくり時代別に並べるとこのような流れです。籠手、脛当、佩楯、甲懸け、半首、半頬、面頬、鉢金、喉輪といった小具足も時代と共に変化してきています。
甲冑の歴史というのは戦闘の歴史です。徒立戦、馬上戦、集団戦といった戦い方、太刀、打刀、弓、槍、鉄砲といった武器、こういう戦いの諸条件が変わるにしたがって、甲冑の作りや部品も変わっていきました。
そして、長い平和が続いた江戸時代には需要が無くなり、幕末の混乱期には甲冑は手入れもされておらず、そもそも着用の仕方もわからないという状況。その後は西洋化が進み、甲冑文化は失われてしまいました。
甲冑の歴史から何を学ぶか。
甲冑の歴史から現代の私たちが何を学べるでしょうか。
一つ言えることは、「環境変化に適応できないものは滅びるのみ」ということかなと感じます。
奇しくも、いまは新型コロナで世界中がパニック状態です。
それでなくても、日本の周りでは、アメリカのトランプ政権、韓国の文政権、中国の習政権が誕生してから世界のパワーバランスが崩れ始めてます。日本はなんといっても人口減少時代に入ったことが最も大きい環境の変化ではないでしょうか。5GやAIといったテクノロジーの大転換期でもあります。
私たちの環境が大きく変わろうとしている今の時代。
適応できなかったら、滅びるのみです。
昔の武将たちが、自分や一族の生き残りをかけて、常に危機感を持ち、備え、勝つための創意工夫をしたように。私たちもしっかり変わりゆく環境の情報収集と判断をし、適応できるようにならないといけませんね。(自戒の念込めて)